取引先から商品券を受け取ったけれど、どうやって帳簿に記録すればいいのか分からない。使ったときの処理は購入したときと同じでいいのか。消費税はかかるのか、それとも非課税なのか。スタートアップ企業の経理担当者にとって、商品券をもらったときの会計処理は意外と複雑で、間違えやすいポイントが数多く存在します。
受け取った瞬間から使用するまで、さらには期末処理まで、商品券には段階ごとに異なる処理方法が求められます。適切に処理しなければ税務調査で指摘を受けるリスクもあり、後々のトラブルにつながる可能性があります。
この記事では、商品券をもらった場合の仕訳例から消費税の取扱い、使用時の処理、期末での未使用残高の扱い方まで、実務で必要となる知識を分かりやすく解説します。正しい処理方法を身につけることで、経理業務の質を高め、安心して事業成長に集中できる環境を手に入れられます。
>>残価設定リースの会計処理と消費税をスタートアップ税理士が解説
商品券をもらった場合の会計処理(受贈・受取時)
取引先や関係者から商品券を受け取ったとき、どのように帳簿へ記録すればよいのか迷う方は少なくありません。金券類は現金と似た性質を持つため、受け取った瞬間から正しく管理する必要があります。
仕訳例と勘定科目
お祝いや開業祝いなどで他社から商品券を受贈した場合、その瞬間には実質的な収入が発生していると考えます。商品券を受け取った時点では貸方に雑収入を計上し、借方には他店商品券または貯蔵品という資産勘定を使って処理します。たとえば取引先から10,000円分の商品券を受け取った場合、借方に他店商品券10,000円、貸方に雑収入10,000円と記入するのが一般的です。
このとき注意したいのは、購入したわけではなく無償でもらったという点になります。つまり現金の流出は起きておらず、会社の資産が増えたという事実だけが帳簿へ反映されます。他店商品券という勘定科目は、自社発行ではない商品券を指すために使われます。もし貯蔵品という科目で統一しているならば、そちらを使ってもかまいません。会社内で一度決めたルールは一貫して続けることが重要です。
受け取った商品券は現金と同様に扱えるため、会社の金庫で厳重に保管し、誰がいつ受け取ったかを記録しておくとよいでしょう。あとで使用する際にスムーズな処理ができ、税務調査の際にも説明しやすくなります。商品券を受贈したときの仕訳は比較的シンプルですが、受け取った事実を見逃さず、必ず帳簿へ記録する習慣をつけておきましょう。
消費税の取扱い
商品券を受け取ったときの消費税区分は不課税となります。物品切手等の譲渡は非課税取引とされているため、もらった商品券そのものに対して消費税を計上する必要はありません。これは二重課税を防ぐために定められた制度であり、商品券を購入したり譲渡したりする段階では消費税がかからない仕組みになっています。
ただし注意したいのは、商品券を実際に使って物品やサービスを購入したときです。その時点で初めて消費税の課税取引が発生します。つまり受け取った段階では税金の心配をせず、使用時に課税処理を行うという流れになるのです。雑収入として計上する際も不課税取引として記録するため、消費税の欄には何も記入しません。
この取扱いは国税庁の通達にも明記されており、実務上も広く浸透しています。商品券の受贈時には消費税を気にせず、使用するタイミングで課税仕入れとして処理することを覚えておくと混乱を避けられます。受け取った商品券の金額をそのまま雑収入へ計上し、消費税区分は不課税にチェックを入れるだけで完了です。
仮に金券ショップなどで額面より安く購入した商品券を使う場合も、同じ考え方が適用されます。購入時には非課税、使用時に課税という流れは変わりません。商品券を受け取った場合の消費税処理は、実際に使うまで発生しないという点を押さえておけば問題ないでしょう。
期末での未使用残高処理
決算期末を迎えたとき、受け取った商品券がまだ手元に残っているケースは珍しくありません。期末時点で未使用の商品券がある場合には、貯蔵品として資産計上する処理が必要になります。もし受け取った時点で他店商品券として資産計上していたならば、そのまま残高を持ち越す形になるため、特別な仕訳は発生しません。
しかし何らかの理由で雑収入として計上したあと、すぐに使うつもりだったのに期末まで使わなかった場合には、貯蔵品へ振り替える処理を検討する必要があります。経費として計上済みの商品券を期末に残したままにしておくと、税務上の問題が生じる可能性があるため注意が必要です。
実務上は、受け取った商品券を最初から資産勘定で処理しておくほうがシンプルです。そうすれば期末に残高がある場合でも、そのまま貸借対照表へ計上すればよいだけです。商品券は現金と同等の価値を持つため、厳格な在庫管理が求められます。決算の際には必ず実際の残高を確認し、帳簿と一致しているかをチェックしましょう。
もし期末に未使用の商品券が大量に残っている場合、税務署から不正使用の疑いをかけられる可能性もあります。受け取った商品券がどこにあるのか、誰が管理しているのかを明確にし、使用履歴をきちんと記録することで、こうしたリスクを避けられます。
商品券をもらった後に使用した場合の会計処理(支出・消費時)
受け取った商品券を実際に使用するとき、どのような仕訳を行うべきか理解しておくことが大切です。商品券を使って物品を購入する場合、購入した物品の内容によって勘定科目が変わります。
たとえば事務用品を購入したならば消耗品費、接待で使ったならば交際費、広告宣伝のために使ったならば広告宣伝費といった具合に、使用目的に応じた勘定科目を選びます。借方には購入した物品の勘定科目を記入し、貸方には他店商品券または貯蔵品を記入することで、資産として持っていた商品券が減少したことを表現します。
具体例として、10,000円分の商品券を使って消耗品を購入した場合を考えてみましょう。借方に消耗品費10,000円、貸方に他店商品券10,000円と記入します。このとき消費税の処理も忘れてはいけません。商品券を使用した段階で初めて消費税の課税取引が発生するため、税抜経理を採用している会社では仮払消費税を計上する必要があります。
もし商品券で11,000円分の消耗品を購入し、うち1,000円が消費税だった場合、借方に消耗品費10,000円と仮払消費税1,000円、貸方に他店商品券11,000円という形になります。受け取った時点では消費税がかからなかったのに、使用時には課税されるという点が商品券処理の特徴です。
使用した商品券の勘定科目は、購入した物品やサービスの内容次第で変わります。会社によってルールが異なる場合もあるため、経理担当者と事前に相談し、統一した処理方法を決めておくとよいでしょう。商品券を使った際には必ずレシートや領収書を保管し、どの商品券を何に使ったかを記録しておくことで、あとから確認しやすくなります。
商品券をもらった場合に関連する発行・販売・精算の会計処理
商品券を受け取る側だけでなく、発行する側や販売する側の処理も理解しておくと、全体の流れが見えてきます。ここでは自社で商品券を発行する場合や、他社の商品券を販売する場合、さらには換金や精算時の処理について説明します。
自社発行商品券(発行・引換時の処理)
自社で商品券を発行する場合、まず発行した時点では売上が計上されません。商品券を販売した段階では商品を引き渡していないため、負債として処理します。たとえば5,000円の商品券を現金で販売した場合、借方に現金5,000円、貸方に商品券5,000円と記入します。この商品券勘定は負債の部に分類され、将来商品を引き渡す義務を表しています。
その後、お客様が商品券を持参して商品と引き換えたとき、初めて売上として計上されます。借方に商品券5,000円、貸方に売上5,000円という仕訳になります。このとき商品券という負債が消滅し、売上という収益が発生する流れです。消費税も商品引換時に課税されるため、実際に商品を渡したタイミングで税金の処理を行います。
もし商品券の額面以上の商品を購入され、不足分を現金で受け取った場合には、現金と商品券の両方を借方に記入し、貸方に売上を計上します。自社発行の商品券は前受金や預り金に似た性質を持つため、発行時点では売上にならないという点を忘れないようにしましょう。
また法人税法上、商品券を発行してから10年が経過した時点で未引換券がある場合、その対価を一括して収益計上するルールもあります。ただしこの未引換券収益は資産の譲渡を伴わないため、原則として消費税の課税対象にはなりません。自社で商品券を発行する場合には、発行時と引換時の二段階で処理が必要だと覚えておくとよいでしょう。
他社商品券の販売・受取処理
他社が発行した商品券を販売する場合、その譲渡は非課税取引となります。他店の商品券を販売しても消費税はかからず、販売代金を受け取った時点で売上として計上します。ただし金券ショップなどで額面より安く仕入れて高く販売する場合には、差額が利益となり、その部分も非課税売上として処理します。
他社の商品券を受け取る場合、たとえば小売店がお客様から他店商品券で支払いを受けたときには、売上が発生します。借方に他店商品券、貸方に売上という仕訳になり、その後、商品券を発行した店舗へ持ち込んで現金と交換します。このとき借方に現金、貸方に他店商品券という仕訳を行い、資産の内容が商品券から現金へ変わったことを記録します。
他店商品券の取扱いは、自社発行の商品券とは異なり資産として扱われます。受け取った時点で将来現金化できる権利を得たと考えるため、貸借対照表の資産の部へ計上されます。消費税の処理も受け取った時点では発生せず、実際に商品やサービスを提供した段階で課税取引として認識されます。
他社の商品券を販売する業者や、他店商品券を受け取る小売店では、商品券の管理が重要です。誰からいつ受け取ったか、どの発行元の商品券かを記録し、換金までの流れをスムーズに進められるようにしておきましょう。
前受金・預り金との関係
商品券は前受金や預り金と似た性質を持っています。自社発行の商品券は将来商品を引き渡す義務を表すため、負債として扱われる点で前受金と同じ考え方になります。前受金は商品やサービスを提供する前に代金を受け取った際に使う勘定科目であり、商品券もまさにこの状況に該当します。
一方で預り金は、従業員の源泉所得税や社会保険料など、一時的に会社が預かっているお金を指します。商品券は預り金とは異なり、将来商品と引き換える義務があるため、負債の中でも前受金に近い性質を持ちます。ただし実務上は商品券という独立した勘定科目を使うことが多く、前受金勘定とは分けて管理されるのが一般的です。
商品券を発行した企業では、期末に商品券の残高を確認し、将来どれだけの商品を引き渡す義務があるかを把握しておく必要があります。長期間引き換えられない商品券がある場合、その扱いについても検討が必要です。法人税法では10年経過後に未引換券を収益計上するルールがあるため、そうした処理も視野に入れておきましょう。
前受金や預り金と商品券の違いを理解しておくことで、決算時の処理がスムーズになります。どちらも負債として扱われる点は共通していますが、商品券は特定の商品やサービスと引き換える権利を表す点で独自の性質を持っています。
換金・精算時の仕訳
他店商品券を受け取ったあと、発行元の店舗へ持ち込んで現金化する場合の仕訳について説明します。商品券を現金と交換するときには、借方に現金、貸方に他店商品券と記入し、資産の形が変わったことを記録します。たとえば10,000円分の他店商品券を現金化した場合、借方に現金10,000円、貸方に他店商品券10,000円という仕訳になります。
このとき消費税の処理は発生しません。なぜなら商品券を現金化する行為そのものは、資産の形を変えるだけであり、新たな取引や消費を伴わないからです。商品券を受け取った時点でも消費税はかからず、使用時に初めて課税されるという流れは変わりません。
もし商品券の額面と換金額に差額がある場合には、その差額を雑収入または雑損失として処理します。たとえば券面10,000円の商品券を9,500円で換金した場合、借方に現金9,500円と雑損失500円、貸方に他店商品券10,000円という仕訳になります。この差額部分は消費税の課税対象外です。
換金や精算の処理は比較的シンプルですが、どの商品券をいつ換金したかを記録しておくことが大切です。特に複数の種類の商品券を扱っている場合、管理が煩雑になりやすいため、商品券ごとに台帳を作成するなど工夫するとよいでしょう。
商品券をもらった場合の会計処理における実務上の注意点と税務論点
商品券を受け取ったり使用したりする際には、いくつかの実務上の注意点があります。正しく処理しないと税務調査で指摘を受ける可能性もあるため、ポイントを押さえておくことが重要です。
まず第一に、商品券は現金と同等の価値を持つため、厳格な管理が求められます。誰がいつ受け取ったか、どこで保管しているか、いつ使用したかを記録し、不正使用を防ぐ体制を整えることが必要です。商品券が紛失したり無断で使用されたりすると、会社の資産が減少するだけでなく、税務上の説明も困難になります。
第二に、用途によって勘定科目が変わる点に注意しましょう。商品券を使って消耗品を購入すれば消耗品費、接待で使えば交際費、従業員へのインセンティブとして渡せば給与または福利厚生費となります。同じ商品券でも使い方次第で経費の性質が変わるため、使用目的を明確にしておくことが大切です。
第三に、消費税の区分が購入時と使用時で異なる点も重要なポイントです。受け取った時点では非課税または不課税ですが、使用時には課税取引として処理します。この切り替えを忘れると消費税の計算が狂ってしまうため、注意が必要です。
第四に、期末に未使用の商品券が残っている場合、必ず貯蔵品として資産計上しなければなりません。経費として計上したまま期末を迎えると、税務上の問題が生じる可能性があります。決算前には必ず商品券の在庫を確認し、帳簿と実際の残高が一致しているかをチェックしましょう。
スタートアップ企業では経理体制が十分に整っていないケースも多く、こうした細かい処理が後回しになりがちです。しかし商品券の扱いは税務署も厳しくチェックするポイントであり、適切な処理を行わないと税務調査で指摘を受けるリスクが高まります。成長段階にある企業こそ、早い段階から正しい経理処理を身につけておくことが大切です。
もし自社だけで対応が難しい場合には、スタートアップ税理士へ相談することも一つの方法です。専門家のアドバイスを受けながら適切な処理を行うことで、後々のトラブルを防ぎ、事業成長に集中できる環境を整えられます。
商品券をもらった場合の会計処理に関する基本的な考え方・前提知識
商品券の処理を正しく行うためには、そもそも商品券がどのようなものか、会計上どう位置づけられるかを理解しておく必要があります。ここでは商品券の基本的な考え方について説明します。
商品券の位置づけと金券類の扱い
商品券は物品切手等と呼ばれる金券類の一種です。券面に記載された金額と引き換えに商品やサービスを受け取ることができる証券であり、現金と同等の価値を持ちます。百貨店やスーパーの商品券、クレジット会社が発行するギフトカード、旅行券、図書カード、プリペイドカードなどが代表例です。
これらの金券類は、将来的に商品やサービスと交換できる権利を表しています。そのため会計上は資産として扱われ、現金や預金と同じように厳格な管理が求められます。商品券を購入したり受け取ったりした時点では、まだ消費が行われていないため、消費税の課税対象にはなりません。
金券類の中でも商品券は特に流通しやすく、贈答品としても広く利用されています。企業間の取引では、お中元やお歳暮、開業祝いなどの場面で商品券が贈られることがあります。こうした場合、受け取った側は雑収入として処理し、資産として帳簿へ記録します。
商品券と似たものに郵便切手や収入印紙がありますが、これらも物品切手等として扱われます。ただし収入印紙は国や地方公共団体が発行するものであり、使用時の処理が若干異なる場合があります。商品券と収入印紙を同じ貯蔵品勘定で管理する会社もあれば、別々の科目で管理する会社もあるため、社内ルールを確認しておきましょう。
会計処理での基本ルール(非課税・課税、使用目的の違い)
商品券の会計処理では、非課税と課税の区別が重要です。商品券そのものを購入したり譲渡したりする段階では消費税が非課税となり、実際に商品やサービスを購入する段階で初めて課税取引が発生します。この仕組みは二重課税を防ぐために設けられており、国税庁の通達でも明記されています。
使用目的によって勘定科目が変わる点も基本ルールの一つです。自社で使うために購入した商品券は他店商品券または貯蔵品として資産計上し、贈答用として購入した場合は接待交際費として経費計上します。従業員へのインセンティブとして使う場合には給与または福利厚生費となり、それぞれ処理が異なります。
また期末に未使用の商品券が残っている場合には、必ず貯蔵品として資産計上しなければなりません。経費として計上したまま期末を迎えると、実際には使用していない費用を計上したことになり、税務上の問題が生じます。期末には必ず商品券の在庫を確認し、帳簿と実際の残高を一致させる処理が必要です。
商品券の処理は一見複雑に見えますが、基本的な考え方を押さえておけば理解しやすくなります。受け取った時点では資産として計上し、使用時に経費として処理する。消費税は使用時に課税される。期末に残高があれば貯蔵品として資産計上する。この三つのポイントを覚えておけば、ほとんどのケースに対応できるでしょう。
スタートアップ企業では経理担当者が一人で複数の業務を兼任していることも多く、こうした細かい処理まで手が回らないケースがあります。しかし商品券の取扱いは税務調査でも注目されやすいポイントであり、正しく処理しておくことが重要です。もし自社だけで対応が難しい場合には、経験豊富な税理士へ相談することをおすすめします。専門家のサポートを受けながら適切な処理を行うことで、会計業務の質を高め、事業成長に集中できる環境を整えることができます。
商品券をもらった場合の会計処理のまとめ
商品券をもらったときの会計処理は、受け取った瞬間から使用するまで、それぞれの段階で異なる処理が必要になります。受贈時には雑収入として計上し、他店商品券または貯蔵品という資産勘定で処理することが基本となります。消費税については受け取った時点では不課税となり、実際に使用した段階で初めて課税取引として扱われる点に注意が必要です。
使用するときには購入した物品やサービスの内容に応じて勘定科目を選び、消耗品費や交際費などで処理します。期末に未使用の商品券が残っている場合には貯蔵品として資産計上し、帳簿と実際の残高を一致させることが求められます。商品券は現金と同等の価値をもつため、厳格な管理体制を整え、不正使用を防ぐことも重要なポイントです。
| 処理段階 | 仕訳例 | 消費税区分 |
|---|---|---|
| 商品券を受け取ったとき | 借方:他店商品券 貸方:雑収入 |
不課税 |
| 商品券で物品を購入したとき | 借方:消耗品費 貸方:他店商品券 |
課税 |
| 期末に未使用分がある場合 | 借方:貯蔵品 貸方:他店商品券 |
対象外 |
| 自社が商品券を発行したとき | 借方:現金 貸方:商品券(負債) |
非課税 |
| 発行した商品券で商品を引き渡したとき | 借方:商品券(負債) 貸方:売上 |
課税 |

